ネジ・締結部品の鉄鋼市況情報
原料が下がっても、ネジ価格は値上り局面が継続
2026年9月の鋼材マーケット情報では、 「鉄・SUS:値上り状況継続」とされています。 国内H2スクラップや棒鋼など一部の市況価格は前月から下落していますが、 材料費だけでなく、エネルギー、物流、労務費、副資材費など 製造に関わる諸経費の上昇が続いており、 鉄製ネジ・SUSネジでは価格転嫁の動きが継続しています。
特に今回は、亜鉛価格の上昇による表面処理費用への影響にも注意が必要です。 「鉄の原料が下がればネジも安くなる」と単純に判断するのではなく、 材質、表面処理、在庫、納期、価格改定時期を合わせて確認することが重要です。
9月の主要市況指標
線材 SWRCH
239,000円/t
高炉・紐付
傾向:上昇
高力ボルト
410,000円/t
M20~22
傾向:上昇
国内H2スクラップ
50,000円/t
国内屑・炉前
前月比 -2,000円
特殊鋼丸棒
183,000円/t
SC φ25~100
傾向:上昇
棒鋼
105,000円/t
SD295A D16~25
前月比 -5,000円
冷延鋼板
120,000円/t
SPCC 1.2×4×8
傾向:上昇
電気銅
2,380円/kg
国内参考市況
前月比 +20円
ニッケル LME
16,766ドル/t
LME
前月比 +109ドル
出典:サンコーインダストリー株式会社 「鋼材マーケット情報 VOL.285 2026/9/10」。 国産一級品の月間国内平均市況等を参考値として整理しています。 実際の取引価格を保証するものではありません。
9月の市況判断
原料が下がってもネジ価格は下がらない
国内H2スクラップは前月比2,000円安、 棒鋼は5,000円安となっています。 一方、線材、高力ボルト、特殊鋼丸棒、 冷延鋼板などでは上昇傾向が示されています。
原料相場だけでは完成品価格の方向を判断できない状況です。
製造に関わるコスト上昇が継続
材料費だけでなく、エネルギー、運送費、 労務費、副資材費などの上昇が、 ネジ製品価格を押し上げる要因となっています。
亜鉛高騰にも注意
国内亜鉛建値は過去最高値を更新しており、 亜鉛を使用する表面処理費用への影響が懸念されています。 鉄そのものの価格だけでなく、 表面処理費まで含めて確認する必要があります。
なぜ原料が下がってもネジ価格は下がらないのか
9月の市況で注目したいのは、 原料価格とネジ製品価格が同じ方向に動いていない ことです。
ネジやボルトの製造には材料以外にも、 加工、熱処理、表面処理、エネルギー、包装、 輸送、労務など多くのコストが必要です。
そのため、一部の原材料価格が下落しても、 その他の製造コストが上昇したままであれば、 完成品価格がすぐに下落するとは限りません。
今回の市況を見るポイント
「鉄の価格が下がったか」ではなく、 材料価格+加工費+表面処理費+物流費+労務費 を合わせて見る必要があります。
価格転嫁の動きが広がる
企業が原材料などを調達するコストの上昇が続いています。 資料では、企業間取引の指標となる企業物価指数が 6月に前年同月比7.1%上昇したとされています。
原材料価格やエネルギー価格の上昇を 製品価格へ転嫁する動きは幅広い産業へ広がっています。
中小企業庁の調査では、原材料費の転嫁率は約56%ですが、 エネルギー費や労務費については50%前後にとどまるとされています。
つまり、まだ商品価格へ十分に反映されていないコストが 残っている可能性があります。 今後もメーカーや仕入先による価格改定が行われる可能性を考え、 現在価格だけでなく次回仕入時の価格も確認することが重要です。
亜鉛価格が最高値を更新
国内亜鉛相場は再び最高値を更新しました。 三井金属は2026年8月26日、 8月積み亜鉛建値を 727,000円/t に改定しました。
従来の最高値だった691,000円/tを大きく上回り、 初めて700,000円/tを超えています。
亜鉛は、ネジ・ボルト・ナットなどで使用される 表面処理とも関係する材料です。 資料でも亜鉛高騰による表面処理費用の上昇が 懸念されています。
調達時の確認ポイント
鉄製品では材質だけでなく、 表面処理の種類と現在価格 まで確認してください。
神戸製鋼所も10月出荷分から追加値上げ
神戸製鋼所は、線材・棒鋼、厚板、薄板など 全鋼材品種の販売価格について、 2026年10月出荷分から5,000円/t以上の値上げ を発表しています。
2026年には3月に10,000円/t以上、 7月出荷分から5,000円/t以上の値上げを実施しています。 今回はさらに追加の値上げとなります。
背景には副資材費や物流費など、 各種コストが想定以上のペースで上昇していることがあります。
そのため、9月時点の価格だけで判断するのではなく、 次回入荷時・10月以降の価格改定 まで確認する必要があります。
一方で鉄鋼原料は全面高ではない
高炉大手が調達する主原料では、 10~12月期の鉄鉱石価格が 7~9月期比で約9%下落する一方、 原料炭は約2%上昇しています。
中国の建設需要低迷を背景に鉄鉱石価格には調整が入る一方、 原料炭では中国の炭鉱事故など供給面の影響が出ています。
現在の市場は、 原料・副資材・加工費・物流費・労務費が それぞれ異なる方向へ動く局面 になっています。
9月市況から見るネジ調達のポイント
| 区分 | 9月時点の見方 | 調達時の確認ポイント |
|---|---|---|
| 一般鉄製ねじ・ボルト | 線材価格と、製造に関わる諸経費の上昇が継続しています。 | 現在価格、必要数量、在庫、納期、次回補充時期を確認します。 |
| 高力・高強度ボルト | 高力ボルトの参考市況は410,000円/tで上昇傾向です。 | 強度、材質、寸法、用途条件を固定したうえで価格を比較します。 |
| 表面処理品 | 亜鉛価格の高騰により、表面処理費用への影響が懸念されています。 | 材質だけでなく、表面処理の仕様と現在価格を確認します。 |
| SUSねじ | 鉄製品と同様に材料費や製造諸経費の高騰を背景とした値上り状況が継続しています。 | 材質、寸法、必要数量、現在価格、在庫、納期を確認します。 |
| 大量購入・継続購入品 | 今後の価格改定による影響を受ける可能性があります。 | 現在単価だけでなく、次回補充時の価格と納期も確認します。 |
調達担当者様が今確認したい3つのポイント
-
必要数量と使用予定日
値上げ局面では、現在の在庫品を購入する場合と 次回仕入分を購入する場合で価格が変わる可能性があります。 -
材質・強度・表面処理
価格だけで代替品を選ばず、 使用条件に必要な仕様を先に固定してください。 -
現在価格・在庫・納期
市況は参考値です。 実際の購入判断では商品ごとの現在価格と在庫を確認してください。
9月のまとめ
原料の一部は下落しているものの、 ネジ価格を押し上げるコストはまだ下がっていません。
国内スクラップや棒鋼が下落する一方、 線材、高力ボルト、特殊鋼などは上昇傾向にあります。
また、物流費、労務費、副資材費などの価格転嫁が続き、 亜鉛価格の上昇による表面処理費への影響も懸念されています。
したがって今後のネジ調達では、 市況価格が下落するまで待つことだけを考えるのではなく、 必要数量・使用時期・現在在庫・現在価格・次回価格改定 を同時に確認することが重要です。
調査元と注意事項
調査元: サンコーインダストリー株式会社 「鋼材マーケット情報 VOL.285」 2026年9月10日。
同資料の価格・動向は、 製鋼メーカー、商社、各新聞等からの情報を 総合した参考指標です。 実際の取引価格を保証するものではありません。

