ネジ 市況・相場情報 - 鉄鋼価格は「横ばい」から「値上り本格化」へ
鋼材マーケット情報を約1年分並べると、鉄鋼市況は2025年夏の需要低迷・価格横ばい局面から、2026年春以降の原料高、労務費、物流費、副資材費、エネルギー費を含むコストプッシュ型の値上げ局面へ移ったことが分かります。特に2026年4月から6月に上流の線材・棒鋼・薄板の値上げが顕在化し、6月以降はネジ製品への価格転嫁も本格化しました。
約1年で何が変わったか
国内H2スクラップ
40,500から53,000円/t
約31%上昇 / 2025年8月比
棒鋼 SD295A
95,000から110,000円/t
約16%上昇 / 2025年8月比
線材 SWRCH
229,000から239,000円/t
約4%上昇 / 2025年8月比
H形鋼
112,000から120,000円/t
約7%上昇 / 2025年8月比
比較は指定フォルダ内の2025年8月8日付と2026年7月10日付の「国産一級品の月間国内平均市況」を基準にしています。
重要な結論: 需要回復より先に、コスト上昇が価格を押し上げた
2025年夏: 需要は弱い
建設関連の低迷が長引き、自動車、建機、産機も一部を除いて生産調整が続きました。棒鋼、H形鋼、冷延鋼板などの市況は弱含みでした。
2025年末: 労務・物流費の転嫁が先行
材料価格が大きく動かない中でも、労務費、物流費、加工賃の上昇を理由に、ネジ製品で五月雨式の値上げが始まりました。
2026年春以降: 原料高も重なる
鉄鉱石、原料炭、鉄スクラップ、合金、副資材、エネルギーの上昇が重なり、線材、棒鋼、薄板、SUS線材の値上げが相次ぎました。
調達上の意味: 「需要が弱いから価格も下がる」とは限りません。2025年後半から2026年にかけては、需要がまだら模様でも供給側コストの上昇が製品価格を押し上げる局面でした。
鉄鋼主要5指標の推移
| 時点 | SWRCH線材 | H2スクラップ | 棒鋼 | H形鋼 | 冷延鋼板 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2025年8月 | 229,000 | 40,500 | 95,000 | 112,000 | 115,000 |
| 2025年9月 | 229,000 | 40,500 | 95,000 | 112,000 | 115,000 |
| 2025年11月 | 229,000 | 41,000 | 95,000 | 112,000 | 115,000 |
| 2025年12月 | 229,000 | 44,000 | 95,000 | 112,000 | 115,000 |
| 2026年1月 | 229,000 | 44,000 | 95,000 | 112,000 | 115,000 |
| 2026年2月 | 229,000 | 44,000 | 100,000 | 112,000 | 115,000 |
| 2026年3月 | 229,000 | 45,000 | 100,000 | 112,000 | 115,000 |
| 2026年4月 | 229,000 | 48,000 | 105,000 | 112,000 | 115,000 |
| 2026年5月 | 229,000 | 52,500 | 105,000 | 112,000 | 115,000 |
| 2026年6月 | 239,000 | 53,000 | 110,000 | 115,000 | 120,000 |
| 2026年7月 | 239,000 | 53,000 | 110,000 | 120,000 | 120,000 |
単位: 円/t。2025年10月は除外しています。
4つの局面で見る相場の変化
| 局面 | 市況 | 主な出来事 | 調達への示唆 |
|---|---|---|---|
| 2025年8月から9月 | 横ばい・弱含み | 建設低迷、自動車・建機・産機の回復遅れ。鉄鉱石・原料炭は一時下落。 | 相場下落期待だけで買いを遅らせず、必要量と在庫を優先して確認。 |
| 2025年11月から2026年1月 | コスト転嫁が始まる | 労務費・物流費の上昇、フェロクロム高、SUS値上げ、鉄鋼原料が反転上昇。銅も急騰。 | 材料価格が横ばいでも加工・運送コストで製品価格が上がる点を確認。 |
| 2026年2月から4月 | 先高基調が明確 | 棒鋼が段階的に上昇。原料炭1から3月積みは前期比約20%高。高炉各社が棒線・薄板値上げ。 | 見積有効期限、次回仕入価格、長納期品の先行手配を確認。 |
| 2026年5月から7月 | 値上り本格化 | CH鋼線、SUS線材、薄板、棒線で値上げが相次ぎ、6月に主要市況値も上昇。7月は全材質で値上りが拡大。 | 定番品も価格改定時期を確認し、在庫・代替材・表面処理違いを含めて早めに比較。 |
SUS・非鉄も同じ時期に上昇圧力
ステンレス
2025年秋からフェロクロムやモリブデン、為替の影響が強まり、2026年春にはステンレス線材の大幅値上げが発表されました。2026年7月資料では4四半期連続の値上げとされています。
銅・黄銅
電気銅は2025年8月の1,500円/kgから2026年7月の2,240円/kgへ約49%上昇。黄銅製品では2025年末から2026年初に価格改定が頻発しました。
アルミ・ニッケル
アルミ地金は426円/kgから614円/kgへ約44%上昇。ニッケルLMEは15,023ドル/tから17,730ドル/tへ約18%上昇し、途中では18,805ドル/tまで上昇しました。
需要は全面回復ではなく、分野ごとに差がある
- 建築: 2025年後半から低迷が続き、2026年7月時点でも停滞が記載されています。
- 自動車: 2025年秋から回復期待が出始め、2026年には底堅さが確認されています。
- 造船: SUS厚中板などで堅調な需要が継続しています。
- 半導体・データセンター: 2026年春から回復・引き合い増加が記載され、7月には回復の本格化が示されています。
- 建設機械・産業機械: 低迷が長かったものの、2026年7月資料では持ち直しが見られます。
したがって今回の値上げ局面は、需要増だけで説明するより、コスト上昇と一部分野の需要回復が重なった局面として見るのが実務的です。
ネジ・締結部品の調達で確認したいこと
1. 現行価格だけでなく改定時期
高力ボルトの参考市況は期間中410,000円/tで横ばいですが、線材や加工費は先に上昇しています。参考値が横ばいでも、メーカー価格改定が遅れて反映される可能性を確認してください。
2. 材質・表面処理ごとの影響
鉄、SUS、黄銅、アルミでは上昇要因が異なります。図面指定がある場合は価格だけで代替せず、材質、表面処理、強度区分、規格を優先してください。
3. 在庫と必要時期
値上げ局面では、在庫品か取り寄せ品かで実際の仕入時期が変わります。必要数量、使用予定日、在庫、納期、次回補充時期を同時に確認することが重要です。
調査元と注意事項
調査元: サンコーインダストリー「鋼材マーケット情報」VOL.272、273、275から283(指定Google Driveフォルダ内資料)、ネジクル調査。
各資料の価格・動向は、製鋼メーカー、商社、新聞等の情報を総合した参考指標です。本記事は2025年8月から2026年7月までの方向性を比較するために整理したもので、取引価格を保証するものではありません。
2025年10月資料は指定フォルダに含まれていないため、連続月次データとして補完・推定していません。実際の購入判断では、商品ページの価格、在庫、納期、材質、表面処理、規格をご確認ください。
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