自動運転装置は、AI ECU、LiDAR、ミリ波レーダー、カメラ、車載ネットワークを統合した高度制御システムです。 一般ECUよりも振動負荷、熱負荷、防水性能、EMI対策要求が高く、 締結部品には高強度・高耐食・高耐振動性能が必要です。 本資料では、ISO26262、ISO16750、IATF16949、JIS C 60068、IPC-A-610を参考基準として、 自動運転装置の製造工程ごとの締結部品を整理しています。
工程1:自動運転制御基板受入・精密検査
工程内容:
AI ECU基板、LiDAR制御基板、画像認識基板、センサ制御モジュールの受入検査を行います。
なぜその作業が必要か:
自動運転装置は高密度BGA実装が多く、基板反りや端子異常が演算エラーや通信異常の原因になります。
使用製品:
シムワッシャー
ISOワッシャー
六角スペーサー・6角スペーサー
用途・役割:
検査治具の高さ調整、基板平行出し、測定ステージ固定に使用します。
選定基準:
・強度区分:4.8相当以上
・材質:SUS304、鉄三価クロメート
・使用環境:クリーン環境、静電気対策区域
・規格:JIS B 1256、ISOワッシャー規格
引用仕様書名または参考基準名:
IPC-A-610、ISO26262
工程2:AI SoC・GPU・高速通信部品実装
工程内容:
AI SoC、GPU、Ethernet通信IC、DDRメモリ、高速画像処理ICを基板へ実装します。
なぜその作業が必要か:
高速通信とリアルタイム演算を行うため、実装精度不足は通信遅延や誤認識につながります。
使用製品:
マイクロネジ
なべ小ねじ(なべ頭)
端子ねじ
用途・役割:
高速通信モジュール、AIサブボード、センサ基板固定に使用します。
選定基準:
・強度区分:4.8相当以上
・材質:SUS、ニッケルめっき鋼
・使用環境:静電気対策区域、精密実装工程
・規格:JIS B 1111、ISO7045
引用仕様書名または参考基準名:
IPC J-STD-001、JEITA電子実装基準
工程3:ヒートシンク・冷却プレート固定
工程内容:
AI演算ユニットへヒートシンク、冷却プレート、放熱ブラケットを組み付けます。
なぜその作業が必要か:
自動運転装置は演算負荷が高く、発熱量増加によるサーマルシャットダウン防止が必要です。
使用製品:
A2-70ねじ
皿バネ座金
ノルトロックワッシャー
用途・役割:
ヒートシンク固定、放熱プレート固定、振動ゆるみ防止に使用します。
選定基準:
・強度区分:A2-70、8.8以上
・材質:SUS304、炭素鋼
・使用環境:高温環境、振動環境
・規格:ISO3506、JIS B 1251
引用仕様書名または参考基準名:
ISO16750、JIS C 60068
工程4:LiDAR・ミリ波レーダー固定
工程内容:
LiDARユニット、ミリ波レーダー、前方監視カメラをブラケットへ固定します。
なぜその作業が必要か:
固定精度不足は、センシング誤差や物体認識ズレにつながります。
使用製品:
8.8六角ボルト
フランジナット
歯付き座金
六角穴付ボルトワッシャー付
用途・役割:
センサブラケット固定、振動対策、アース導通確保に使用します。
選定基準:
・強度区分:8.8以上
・材質:鉄三価クロメート、溶融亜鉛メッキ
・使用環境:振動環境、温湿度変化環境
・規格:JIS B 1180、JIS B 1181
引用仕様書名または参考基準名:
ISO16750、IATF16949
工程5:防水カバー・EMIシールド固定
工程内容:
ECUケース、防水カバー、EMIシールドケースを締結し、防水・ノイズ対策を行います。
なぜその作業が必要か:
自動運転装置は高速通信を行うため、EMIノイズ侵入防止と防水性能維持が必要です。
用途・役割:
防水固定、EMIシールド固定、結露侵入防止に使用します。
選定基準:
・強度区分:A2-70または4.8相当
・材質:SUS304、導電処理鋼板対応材
・使用環境:防水環境、腐食環境、高周波通信環境
・規格:IP67、ISO16750
引用仕様書名または参考基準名:
JIS D 0203、ISO16750
工程6:車体ブラケット・自動運転ECU固定
工程内容:
自動運転ECUとADASユニットを車体ブラケットへ固定します。
なぜその作業が必要か:
高速走行時の振動で締結緩みが発生すると、認識精度低下や通信異常につながります。
使用製品:
10.9六角ボルト
ノルトロックワッシャー
フランジナット
皿バネ座金
用途・役割:
高荷重ブラケット固定、振動ゆるみ防止、長期耐久固定に使用します。
選定基準:
・強度区分:10.9
・材質:高張力鋼、ジオメット処理鋼
・使用環境:屋外振動環境、塩害環境
・規格:ISO898-1、JIS B 1180
引用仕様書名または参考基準名:
ISO16750、IATF16949
工程7:自動運転機能試験・耐環境試験
工程内容:
AI推論試験、画像認識試験、LiDAR通信試験、CAN/Ethernet通信試験、振動試験を行います。
なぜその作業が必要か:
自動運転装置は安全機能に直結するため、誤認識や通信断を防止する必要があります。
用途・役割:
試験治具固定、振動対策、抜け止め固定に使用します。
選定基準:
・強度区分:8.8以上
・材質:SUS、鉄三価クロメート
・使用環境:繰返し試験環境
・規格:JIS B 1351
引用仕様書名または参考基準名:
ISO26262、JIS C 60068、IATF16949
まとめ
自動運転装置では、AI演算、高速通信、LiDAR、ミリ波レーダー、画像認識機能を安定稼働させるため、 締結部品に高い耐振動性と耐熱性が要求されます。
高荷重部では10.9六角ボルトとノルトロックワッシャーを組み合わせ、 放熱部ではA2-70ねじと皿バネ座金を使用します。 また、防水工程ではシールビス・シール座金・シーリングパッキンを使用し、 長期信頼性を維持します。
自動運転装置では、締結不良が認識誤差・通信異常・安全機能停止へ直結するため、 工程ごとのトルク管理、ゆるみ止め管理、導通管理を標準化する必要があります。

