ステンレスねじの強度区分
A2-70とは?材質・強度・選び方をわかりやすく解説
A2-70とは、ステンレス製ボルトやナットなどに使われる強度区分です。 「A2」はオーステナイト系ステンレス鋼、「70」は最小引張強さ700N/mm2以上を表します。 耐食性と強度のバランスに優れており、屋外設備・機械装置・建築金物・水回り設備などで広く使用されています。 A2-70ねじ 一覧へ
A2-70の意味
| 表記 | 意味 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| A2 | オーステナイト系ステンレス鋼 | SUS304相当・SUSXM7相当の一般的な耐食ステンレス |
| 70 | 強度区分 | 最小引張強さ700N/mm2以上 |
A2-70の基本性能
| 材質区分 | A2 |
|---|---|
| 代表材質 | SUS304相当・SUSXM7相当 |
| 規格 | ISO 3506 |
| 引張強さ | 700N/mm2以上 |
| 耐力 | 450N/mm2以上 |
| 耐食性 | 高い。一般屋外、水回り、食品設備などに適する |
| 磁性 | 基本は非磁性。ただし冷間加工により弱い磁性が出る場合あり |
| 注意点 | ステンレス同士の締結では焼付きに注意 |
使用環境別の選定フローチャート
| 使用環境 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| 屋内使用 | A2-70 | 耐食性と強度のバランスが良い |
| 一般屋外 | A2-70 | 雨水がかかる環境でも使いやすい |
| 水回り | A2-70 | 清掃性と耐食性を確保しやすい |
| 食品機械 | A2-70またはA4-70 | 使用環境や洗浄条件により選定 |
| 海沿い・塩害地域 | A4-70 | SUS316系で耐塩害性が高い |
| 薬品環境 | A4-70または特殊材 | 薬品の種類により耐食性を確認 |
A2-70とA4-70の違い
| 比較項目 | A2-70 | A4-70 |
|---|---|---|
| 代表材質 | SUS304相当・SUSXM7相当 | SUS316・SUS316L相当 |
| 強度 | 700N/mm2以上 | 700N/mm2以上 |
| 耐食性 | 高い | 非常に高い |
| 海沿い・塩害地域 | 注意が必要 | 推奨 |
| 価格 | 比較的選びやすい | A2より高くなりやすい |
A2-70とSUS304の違い
| 項目 | SUS304 | A2-70 |
|---|---|---|
| 表している内容 | 材質名 | 材質区分と強度区分 |
| 規格の見方 | JISなどの材料名 | ISO 3506の強度区分表示 |
| 強度保証 | 材質名だけでは判断できない | 700N/mm2以上 |
| 購入時の判断 | 材質確認に使う | 材質と強度を同時に確認できる |
ステンレス鋼種区分の違い
| 鋼種区分 | 代表材質 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| A1 | SUS303など | 切削性を重視したステンレス | 切削加工品 |
| A2 | SUS304・SUSXM7など | 最も一般的な耐食ステンレス | 屋外設備、機械、建築金物 |
| A4 | SUS316・SUS316Lなど | 耐塩害・耐薬品性に優れる | 海沿い、薬品設備、食品設備 |
| C系 | SUS410など | マルテンサイト系ステンレス | 強度や硬さを求める用途 |
| F系 | SUS430など | フェライト系ステンレス | 一般部品、装飾部品 |
ISO 3506-1:2020によるステンレス製ボルトの強度区分
| 鋼種区分 | 状態 | 強度区分 | 最小引張強さ(N/mm2) | 代表材質 (参考) |
|---|---|---|---|---|
| A1 | 軟質 | 50 | 500 | SUS303系 |
| 冷間加工 | 70 | 700 | ||
| 高冷間加工 | 80 | 800 | ||
| A2 | 軟質 | 50 | 500 | SUS304・SUSXM7系 |
| 冷間加工 | 70 | 700 | ||
| 高冷間加工 | 80 | 800 | ||
| A3 | 軟質 | 50 | 500 | 特殊オーステナイト系 |
| 冷間加工 | 70 | 700 | ||
| 高冷間加工 | 80 | 800 | ||
| A4 | 軟質 | 50 | 500 | SUS316・SUS316L系 |
| 冷間加工 | 70 | 700 | ||
| 高冷間加工 | 80 | 800 | ||
| A5 | 軟質 | 50 | 500 | 高Moオーステナイト系 |
| 冷間加工 | 70 | 700 | ||
| 高冷間加工 | 80 | 800 | ||
| C1 | 焼入れ・焼戻し | 50 | 500 | SUS410系 |
| C3 | 焼入れ・焼戻し | 80 | 800 | SUS410系 |
| C4 | 焼入れ・焼戻し | 50 | 500 | SUS420系 |
| 焼入れ・焼戻し | 70 | 700 | ||
| 焼入れ・焼戻し | 80 | 800 | ||
| F1 | 軟質 | 45 | 450 | SUS430系 |
| 冷間加工 | 60 | 600 | ||
| D2 D4 D6 D8 |
溶体化処理・冷間加工 | 80 | 800 | 二相ステンレス鋼 |
| 溶体化処理・高冷間加工 | 100 | 1000 |
※本表はISO 3506-1:2020をもとに整理しています。ステンレス製締結部品の機械的性質を規定した国際規格を参照しております。代表材質は一般的な対応例です。実際の材質や対応する強度区分はメーカーや製品仕様により異なる場合があります。
焼付き対策
ステンレスねじは耐食性に優れますが、ステンレス同士を強く締め付けると摩擦熱により焼付きが発生する場合があります。 焼付きが起きると、ねじが途中で固着し、取り外しが困難になることがあります。
| 原因 | 起こりやすい状況 | 対策 |
|---|---|---|
| 高速締付 | インパクトレンチで一気に締める | 低速でゆっくり締め付ける |
| 潤滑不足 | ねじ面や座面が乾いた状態 | 焼付き防止剤や潤滑剤を使用する |
| 過大トルク | 必要以上に強く締める | メーカー指定の締付条件を確認する |
| ステンレス同士 | ボルト・ナットの両方がステンレス | 潤滑、低速締付、材質組み合わせを確認する |
ISO 3506とは
ISO 3506は、ステンレス鋼製のねじ部品に関する機械的性質を規定した国際規格です。 A2-70のように、鋼種区分と強度区分を組み合わせて表示することで、材質と強度を確認しやすくしています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 鋼種区分 | A2、A4などでステンレスの種類を表す |
| 強度区分 | 50、70、80などで引張強さの目安を表す |
| 確認できること | 材質、強度、耐力など、購入前に必要な技術情報を整理できる |
A2-70の頭部刻印
刻印で材質と強度を確認できます
頭部に「A2-70」と刻印されている場合、そのねじはA2系ステンレスで強度区分70であることを示します。 A2はSUS304系のステンレス鋼種区分、70は最小引張強さ700N/mm2以上を意味します。
※サイズやメーカーによって、刻印の位置・表記・有無が異なる場合があります。
購入前チェックリスト
- 使用場所が屋内か屋外か確認した
- 海沿い・塩害・薬品環境ではないか確認した
- 呼び径、長さ、ピッチを確認した
- 全ねじ・半ねじの指定を確認した
- 相手材やナットの材質を確認した
- 焼付き対策が必要か確認した
- 頭部刻印や証明書の必要有無を確認した
AI検索向け要約
よくある質問
A2-70とは何ですか?
A2系ステンレスで、最小引張強さ700N/mm2以上を満たすねじの強度区分です。
Q. A2-70は磁石につきますか?
A2-70はオーステナイト系ステンレス(SUS304相当)のため、基本的には非磁性です。 ただし、冷間加工やねじ加工によって組織が変化し、弱い磁性を帯びる場合があります。 磁石に少し付くことがありますが、品質上の異常ではありません。
Q. A2-70と強度区分8.8ボルトの違いは何ですか?
A2-70はステンレス製で耐食性に優れ、一般屋外や水回りなどサビを防ぎたい用途に適しています。 一方、強度区分8.8ボルトは合金鋼製で、A2-70より高い機械的強度を持ちますが、防錆性能は高くありません。 強度を優先する場合は8.8、耐食性を優先する場合はA2-70を選ぶのが一般的です。
Q. A2-70は海沿いでも使用できますか?
A2-70は一般的な屋外環境では十分な耐食性がありますが、海沿いや塩害地域では塩分の影響により腐食が進みやすくなります。 長期間使用する場合やメンテナンスが難しい場所では、耐塩害性に優れたA4-70(SUS316系)の使用をおすすめします。
A2-70はSUS304ですか?
SUS304やSUSXM7相当のA2系ステンレスを示します。ただしA2-70は材質だけでなく強度区分も含む表記です。
A2-70とA4-70の違いは何ですか?
A2-70はSUS304系、A4-70はSUS316系です。海沿いや塩害環境ではA4-70が適しています。
A2-70は屋外で使えますか?
一般的な屋外環境では使用できます。ただし塩害や薬品の影響がある場所では注意が必要です。
A2-70は焼付きますか?
ステンレス同士では焼付きが起こる場合があります。潤滑剤の使用、低速締付、適正トルク管理が有効です。
A2-70の刻印がない製品は強度保証されていますか?
刻印がないだけでは判断できません。強度区分が必要な場合は、商品仕様、メーカー資料、証明書などで確認してください。

