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調達と購買の違いから考える製造工程別のネジ選択ガイド

調達と購買の違いから考える製造工程別のネジ選択ガイド

調達は、仕様、規格、材質、供給リスク、代替可否を決める仕事です。

購買は、決定済みの仕様に基づき、価格、納期、数量、発注単位、入荷管理を実行する仕事です。

ネジ選択では、調達担当者様が先に「変えてはいけない条件」を決めます。

その上で、購買実務では見積依頼、数量確認、納期確認、代替品照合を行います。

調達の観点

調達では、ネジの仕様を決めます。

呼び径、長さ、材質、表面処理、強度区分、規格、使用環境を固定します。

代替品を使う場合も、変えてはいけない条件を明確にします。

購買の観点

購買では、決まった仕様で発注します。

単価、納期、発注ロット、在庫、入荷数量、検収条件を確認します。

安価な代替品を選ぶ場合も、仕様不一致を避ける必要があります。

工程1:設計仕様確定と標準ネジ選定条件の設定

工程名

設計仕様確定と標準ネジ選定条件の設定です。

工程内容(仕様書ベース)

製品図面、部品表、締結仕様書、品質管理基準を確認します。

ネジの呼び径、長さ、材質、表面処理、強度区分、対応規格を決めます。

調達では、標準品を優先して選定します。

購買では、標準品番で見積依頼できる状態にします。

なぜ必要か

工程ごとにネジを都度選ぶと、仕様違いが発生します。

材質違い、表面処理違い、強度区分違いは、締結不良や腐食の原因になります。

使用製品

ネジ規格、六角穴付きボルト、JISワッシャーを確認対象にします。

用途・役割

構造固定用、カバー固定用、基板固定用、配線固定用、ゆるみ止め用に分けます。

選定基準

標準化しやすい呼び径を優先します。

屋外、薬品、湿気、振動の有無で材質と表面処理を決めます。

強度が必要な箇所は、炭素鋼、合金鋼、強度区分を明記します。

調達担当者様が確認する項目

呼び径長さ材質表面処理強度区分使用環境対応規格数量確認

量産時の管理ポイントは、同一仕様品の集約、品番重複、代替条件の固定です。

引用仕様書名または参考基準名

JIS B 1180 六角ボルト、JIS B 1181 六角ナット、JIS B 1256 平座金、ISO 898-1。

次工程

治具、金型、加工部品の準備工程へ進みます。

工程で使用する商品
ネジ規格

ネジ規格

設計仕様と購買仕様を照合するために使用します。

呼び径、ピッチ、頭部形状、対応規格を確認します。

六角穴付きボルト

六角穴付きボルト

機械部品、ブラケット、治具の高締付固定に使用します。

呼び径、首下長さ、強度区分、表面処理を確認します。

JISワッシャー

JISワッシャー

座面保護と締付力の安定化に使用します。

相手材のめり込み、塗装剥がれ、座面傷を防ぎます。

工程2:治具製作と加工部品の位置決め締結

工程名

治具製作と加工部品の位置決め締結です。

工程内容(仕様書ベース)

加工治具、検査治具、組立治具を製作します。

位置決めピン、ストッパ、クランプ部品、ブラケットを固定します。

調達では、治具に使うネジを生産設備用と量産製品用で分けます。

なぜ必要か

治具の締結精度が悪いと、加工寸法と組立位置がばらつきます。

位置決め部のネジが緩むと、量産中に不良が連続発生します。

使用製品

六角穴付きボルト、ストリッパボルト、ダウエルピン、シムワッシャーを使用します。

用途・役割

六角穴付きボルトは、治具ベースとブラケットを強く固定します。

ストリッパボルトは、摺動部や位置規制部の段付き保持に使用します。

シムワッシャーは、高さ調整とすき間調整に使用します。

選定基準

繰り返し脱着する治具には、六角穴付きボルトを優先します。

位置決め精度が必要な箇所は、ネジだけで位置を出さず、ピンを併用します。

調達担当者様が確認する項目

呼び径、長さ、材質、表面処理、強度区分、切削油や粉じん環境、交換周期を確認します。

量産時の管理ポイントは、治具用ネジと製品用ネジを混在させないことです。

引用仕様書名または参考基準名

ISO 898-1、社内治具設計標準、設備保全基準。

次工程

フレーム、架台、構造部材の組立工程へ進みます。

工程で使用する商品
六角穴付きボルト

六角穴付きボルト

治具ベースと可動ブラケットを高い締付力で固定します。

位置ずれ、締付不足、治具のがたつきを防ぎます。

ストリッパボルト

ストリッパボルト

可動部、ガイド部、押さえ部の段付き保持に使用します。

摺動部の締め過ぎ、部品干渉、動作不良を防ぎます。

シムワッシャー

シムワッシャー

治具高さ、すき間、当たり面の微調整に使用します。

加工精度のばらつき、片当たり、検査誤差を抑えます。

工程3:フレーム組立と構造部材の高強度締結

工程名

フレーム組立と構造部材の高強度締結です。

工程内容(仕様書ベース)

架台、フレーム、補強部材、ブラケットを組み立てます。

荷重、振動、外力を受ける締結箇所を管理します。

調達では、強度区分と表面処理を固定します。

なぜ必要か

構造部材のネジ選定を誤ると、締結部の緩み、変形、破断につながります。

高強度ボルトは、見た目が似ていても強度区分が異なります。

使用製品

六角ボルト、六角ナット、JISワッシャー、ノルトロックワッシャーを使用します。

用途・役割

六角ボルトは、架台と構造ブラケットを固定します。

ノルトロックワッシャーは、振動部の戻り回転を抑えるために使用します。

選定基準

荷重を受ける箇所は、強度区分を指定します。

屋外や湿気環境では、防錆処理を確認します。

振動部では、ゆるみ止め構造を併用します。

調達担当者様が確認する項目

M6、M8、M10、M12などの呼び径、締結板厚、ワッシャー厚、ナット高さを含めて確認します。

量産時の管理ポイントは、強度区分違いの混入防止とロット管理です。

引用仕様書名または参考基準名

JIS B 1180 六角ボルト、JIS B 1181 六角ナット、JIS B 1256 平座金、ISO 898-1。

次工程

板金カバー、外装パネル、樹脂部品の取付工程へ進みます。

工程で使用する商品
六角ボルト

六角ボルト 並目

架台、フレーム、補強ブラケットを締結するために使用します。

呼び径、長さ、強度区分、表面処理を確認します。

六角ナット

六角ナット

ボルト締結部の相手側固定に使用します。

ボルトの材質、強度区分、ねじピッチとの適合を確認します。

ノルトロックワッシャー

ノルトロックワッシャー

振動を受けるフレーム部と装置架台部のゆるみ止めに使用します。

戻り回転、締付力低下、保守後の緩みを防ぎます。

工程4:板金カバー取付と外装部品の外観締結

工程名

板金カバー取付と外装部品の外観締結です。

工程内容(仕様書ベース)

板金カバー、点検カバー、外装パネル、樹脂カバーを取り付けます。

作業性、外観、干渉、脱着頻度を考慮します。

調達では、頭部形状と表面処理を固定します。

なぜ必要か

外装部品では、締結力だけでなく外観品質も重要です。

頭部が高いネジを使うと、干渉や引っ掛かりが発生します。

使用製品

なべ小ねじ、皿小ねじ、トラス小ねじ、タッピングねじ、低頭ネジを使用します。

用途・役割

なべ小ねじは、一般的なカバー固定に使用します。

皿小ねじは、頭部を沈めたい外装面に使用します。

タッピングねじは、下穴に直接ねじ込む樹脂部品や薄板部品に使用します。

選定基準

外観面では、頭部形状と表面処理を優先します。

樹脂部品では、締付トルクとねじ込み深さを確認します。

調達担当者様が確認する項目

呼び径、長さ、材質、表面処理、頭部形状、皿角度、下穴径を確認します。

量産時の管理ポイントは、外観色、頭部形状、長さ違いの混入防止です。

引用仕様書名または参考基準名

JIS小ねじ関連規格、社内外観検査基準、組立作業標準。

次工程

基板、配線、センサー、端子台の取付工程へ進みます。

工程で使用する商品
なべ小ねじ

なべ小ねじ

板金カバーと点検カバーを標準的に固定するために使用します。

座面の安定性を確保し、外装部の締付不良を防ぎます。

皿小ねじ

皿小ねじ

皿座ぐり部に頭部を沈める外観部品で使用します。

頭部の出っ張り、干渉、引っ掛かりを防ぎます。

タッピング

タッピング

薄板部品や樹脂部品へ直接締結する箇所で使用します。

下穴径、相手材、締付トルクを確認して割れや空回りを防ぎます。

工程5:基板取付と電装部品の絶縁・高さ管理

工程名

基板取付と電装部品の絶縁・高さ管理です。

工程内容(仕様書ベース)

プリント基板、制御基板、センサー基板、端子台、配線クランプを取り付けます。

基板高さ、絶縁距離、接地、配線保持を管理します。

調達では、導電性と絶縁性を区別して製品を選びます。

なぜ必要か

基板の高さがずれると、コネクタ接続不良や筐体干渉が発生します。

金属スペーサーと樹脂スペーサーの使い分けを誤ると、短絡や接地不良につながります。

使用製品

六角スペーサー、中空スペーサー、端子ねじ、配線ビス、座金付き小ねじを使用します。

用途・役割

六角スペーサーは、基板と筐体の距離を一定に保ちます。

端子ねじは、電線端子と端子台を固定します。

配線ビスは、配線クランプやアース端子の固定に使用します。

選定基準

導通が必要な箇所は金属スペーサーを選びます。

絶縁が必要な箇所は樹脂スペーサーを選びます。

端子部は、緩み止め、座面、接触安定性を確認します。

調達担当者様が確認する項目

呼び径、スペーサー高さ、ねじ込み深さ、導電性、絶縁性、端子形状を確認します。

量産時の管理ポイントは、導電部品と絶縁部品の混入防止です。

引用仕様書名または参考基準名

電気機器組立基準、社内基板実装基準、社内配線作業標準。

次工程

最終締付、検査、出荷前確認工程へ進みます。

工程で使用する商品
六角スペーサー

六角スペーサー

基板と筐体の高さを一定に保つために使用します。

コネクタ干渉、基板たわみ、絶縁距離不足を防ぎます。

端子ねじ

端子ねじ

端子台と丸端子、Y端子を固定するために使用します。

接触不良、端子抜け、発熱を防ぐため、座面と締付条件を確認します。

配線ビス

配線ビス

配線クランプ、アース線、ハーネス保持部を固定するために使用します。

振動による配線外れ、アース不良、端子緩みを防ぎます。

工程6:最終締付検査と量産購買管理

工程名

最終締付検査と量産購買管理です。

工程内容(仕様書ベース)

締付状態、外観、緩み、数量、ロットを確認します。

調達では、代替品に変更してよい条件と変更してはいけない条件を明確にします。

購買では、発注単位、入荷ロット、在庫、欠品リスクを管理します。

なぜ必要か

量産では、ネジ1点の仕様違いが出荷停止につながることがあります。

安価な代替品でも、材質、表面処理、強度区分が違う場合は同等品とは言えません。

使用製品

ロックタイト、シールビス、シール座金、バネ座金、皿バネ座金を必要に応じて使用します。

用途・役割

ロックタイトは、ねじ部のゆるみ止めに使用します。

シールビスは、水分、油分、粉じんの侵入を抑える箇所に使用します。

皿バネ座金は、ばね反力で締付力を補助します。

選定基準

振動部には、機械的ゆるみ止めを検討します。

防水、防油、防じんが必要な箇所は、シール機能付き部品を選びます。

再締付や分解整備がある箇所は、接着剤の強度を確認します。

調達担当者様が確認する項目

呼び径、長さ、材質、表面処理、強度区分、使用環境、対応規格、数量確認を照合します。

量産時の管理ポイントは、ロット変更時の仕様照合と初品確認です。

引用仕様書名または参考基準名

社内締付トルク基準、社内出荷検査基準、ISO 10683。

次工程

出荷、保守部品管理、次回量産手配へ進みます。

工程で使用する商品
ロックタイト

ロックタイト

振動を受けるねじ部のゆるみ止めに使用します。

分解可否、接着強度、使用温度、相手材を確認します。

シールビス

シールビス

水分、油分、粉じんの侵入を抑えるカバー固定部に使用します。

防水不良、油漏れ、内部汚染を防ぎます。

皿バネ座金

皿バネ座金

締付力を補助し、軸力低下を抑える箇所に使用します。

振動、熱膨張、座面なじみによる緩みを抑制します。

工程別まとめ

工程1:設計仕様確定

参照規定:JIS B 1180、JIS B 1181、JIS B 1256、ISO 898-1。

必要商品:ネジ規格六角穴付きボルトJISワッシャー

変えてはいけない条件:規格、呼び径、ピッチ、強度区分、材質。

工程2:治具製作

必要商品:ストリッパボルトシムワッシャー

変えてはいけない条件:寸法精度、段付き部寸法、強度、相手材との適合。

工程3:フレーム組立

必要商品:六角ボルト 並目六角ナットノルトロックワッシャー

変えてはいけない条件:強度区分、ねじピッチ、材質、表面処理、ゆるみ止め条件。

工程4:板金カバー取付

必要商品:なべ小ねじ皿小ねじタッピング

変えてはいけない条件:頭部形状、外観色、皿角度、下穴適合、締付トルク。

工程5:基板取付

必要商品:六角スペーサー端子ねじ配線ビス

変えてはいけない条件:高さ、材質、導通有無、絶縁条件、端子適合。

工程6:最終締付検査

必要商品:ロックタイトシールビス皿バネ座金

変えてはいけない条件:緩み止め性能、シール性能、使用環境、締付管理条件。

調達担当者様向けの実務ポイント

調達では、ネジを価格だけで選ばないことが重要です。

購買では、決まった仕様を崩さずに発注することが重要です。

代替品を検討する場合は、呼び径、長さ、材質、表面処理、強度区分、対応規格を必ず照合します。

量産時は、同じ見た目のネジでも強度区分や表面処理が違う場合があります。

調達担当者様は、見積依頼書に「変えてよい条件」と「変えてはいけない条件」を分けて記載してください。