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溶接ナットとは|種類・用途・使い方を解説

溶接ナットは、薄板や箱形フレームなど、裏側に工具を入れにくい場所へ溶接で固定し、ボルト締結用のめねじを作る部品です。ウエルドナットとも呼ばれ、自動車部品、制御盤、筐体、建設機械カバー、搬送装置などで使用されます。

比較結論:一般的な板金締結にはウエルドナット、薄板や広い座面が必要な箇所にはT型溶接ナットが候補です。

主な用途:裏側からナットを押さえられない筐体、フレーム、ブラケット、カバーなどにめねじを設けます。

確認ポイント:呼び径、ピッチ、板厚、下穴寸法、溶接突起、材質、強度区分、表面処理、溶接方法を確認してください。

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溶接ナットの主な種類

ウエルドナット

  • 板金へ抵抗溶接またはプロジェクション溶接で固定
  • 四角形、六角形などの形状がある
  • 制御盤、車体部品、機械カバーなどに使用
  • 量産ラインで位置決めしやすい

T型溶接ナット

  • 座面が広く、薄板の荷重を分散しやすい
  • 板金端部や長穴周辺で使いやすい
  • 回り止め性や安定性を確保しやすい
  • 筐体、ブラケット、サービスカバーなどに使用

ウエルドナットとT型溶接ナットの比較

比較項目ウエルドナットT型溶接ナット
形状四角形や六角形の本体に溶接用突起を設けた形状です。広い座面やフランジ部を持つ形状です。
主な用途自動車部品、制御盤、筐体、機械カバー、搬送装置フレームなど。薄板、板金端部、長穴周辺、サービスカバー、ブラケットなど。
特徴量産性が高く、位置決め治具を使った連続加工に適します。座面が広く、荷重分散や回り止めを重視する場所に向きます。
選定注意呼び径、板厚、下穴、突起位置、溶接条件を確認します。座面寸法、取付スペース、板金端部との距離を確認します。

板金製造工程別の使い方

工程1

製品仕様確認と溶接ナット位置設計

工程内容

板厚、相手ボルト径、締付トルク、取付方向、工具の進入方向、塗装後のねじ通りを確認し、ナット呼び径と板厚を決めます。

なぜ必要か

位置を誤ると後工程の部品が取り付かないため、設計段階でボルト径、座面寸法、溶接突起の向き、治具逃げを固定します。

使用製品

選定基準

相手ボルトの強度区分、鋼板材質、使用環境、JIS B 1196、JIS B 1052、ISO 898-2を確認します。

工程2

板金展開と下穴加工

工程内容

レーザー加工、タレットパンチ加工、プレス抜きで、ボルト逃げ穴または位置決め穴を加工します。穴径、穴位置、端面距離、曲げ線距離を管理します。

なぜ必要か

下穴が小さいとボルトが通らず、大きいと位置決め精度が落ちます。曲げ線に近すぎるとナット座面が傾きます。

選定基準

板材の種類、呼び径、強度区分4.8または8.8、JIS B 1196、JIS B 0405、ISO 2768を確認します。

工程3

曲げ加工と溶接治具セット

工程内容

曲げ加工後の板金を専用治具へ載せ、基準穴、外形、曲げ面で位置決めします。ナット突起部を板金面へ密着させ、電極で加圧できる方向にセットします。

なぜ必要か

突起部が板金へ接触していないと発熱位置がずれ、溶着不足になります。治具で回転、浮き、逆向きを防止します。

選定基準

溶接性、引張荷重、せん断荷重、振動荷重、JIS B 1196、JIS Z 3001、JIS Z 3140を確認します。

工程4

抵抗溶接によるウエルドナット固定

工程内容

電極でナットと板金を加圧し、突起部へ電流を集中させて発熱、溶融させます。電流、加圧力、通電時間、保持時間、電極摩耗を管理します。

なぜ必要か

薄板へ直接タップを立てる場合より十分なねじかかり長さを確保でき、繰返し脱着するカバーやブラケットを安定して固定できます。

選定基準

板金の変形、締付トルク、塗装工程、JIS B 1196、JIS Z 3140、AIAG CQI-15を確認します。

工程5

溶接後検査とねじ通り確認

工程内容

浮き、傾き、スパッタ、ねじ山損傷、溶け込み不足を確認します。ねじゲージまたは相手ボルトで通りを確認し、必要に応じて押込み荷重、回転トルク、引張荷重を検査します。

なぜ必要か

塗装後や最終組立後に不良が見つかると交換が困難なため、溶接直後に位置とねじ通りを確認します。

選定基準

JIS B 0205、JIS B 0251、JIS B 1196、JIS Z 3140を確認します。

工程6

表面処理と塗装後のねじ保護

工程内容

脱脂、リン酸塩処理、電着塗装、粉体塗装、めっきを行います。塗膜がねじ内部へ厚く入らないよう、ねじ通り確認またはタップさらいの基準を設けます。

なぜ必要か

溶接熱による酸化部からの錆を防止しつつ、ねじ山への過剰な塗膜付着による締付トルク上昇を防ぎます。

使用製品

選定基準

屋内乾燥、屋外雨掛かり、油分、粉じん、JIS H 8610、JIS K 5600を確認します。

工程7

最終組立とボルト締結

工程内容

ブラケット、カバー、レール、端子台、ヒンジをボルトで締結します。ボルト径、強度区分、座面、潤滑条件ごとに締付トルクを設定します。

なぜ必要か

裏側ナットを保持せず片側から締結できるため、作業時間を短縮し、ロボット締付やナットランナーにも対応できます。

使用製品

選定基準

一般筐体は4.8、機械フレームは8.8、振動部位は10.9を目安に、JIS B 1083、JIS B 1180、JIS B 1256、ISO 898-1、ISO 898-2を確認します。

工程8

出荷検査と保全時の再締結管理

工程内容

カバー浮き、ブラケットがたつき、未締結、溶接ナット剥離を確認します。保全時に脱着する箇所は、呼び径、締付トルク、ワッシャー、交換基準を作業標準書へ記載します。

なぜ必要か

過大トルクによるねじ山破壊、溶接部剥離、板金座屈を防ぎ、保全現場でも同じ締結品質を再現するためです。

使用製品

選定基準

ボルト強度区分4.8、8.8、10.9、使用環境、ISO 9001、IATF 16949、JIS B 1083を確認します。

工程のまとめ

  • 裏側に手が入らない箱形構造にはウエルドナット
  • 薄板、端部近く、広い座面が必要な箇所にはT型溶接ナット
  • 振動がある装置では、六角ボルトと緩み止め部品を組み合わせる
  • 塗装後はねじ通りと塗膜付着を確認する
  • 保全時の再締結トルクと交換基準を事前に決める

主な参照規格

JIS B 1196、JIS B 1052、JIS B 0205、JIS B 0251、JIS B 1083、JIS B 1180、JIS B 1256、JIS Z 3001、JIS Z 3140、JIS H 8610、JIS K 5600、ISO 898-1、ISO 898-2、ISO 9001、IATF 16949、AIAG CQI-15。

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