~ベーキング処理について~
「ベーキング」という名称で浸透していますが、 正しくは「水素脆性除去処理」と言います。
水素脆性とは、炭素含有量の多い高強度鋼が、 酸洗処理や電気亜鉛メッキ工程などで発生した水素を吸収し、 材料内部が脆くなってしまう現象です。
この状態のまま使用すると、 ボルト頭部破断、ねじ部破断、 遅れ破壊(頭飛び)などが発生します。
遅れ破壊は締結直後ではなく、 数時間後から数か月後に突然発生するため、 外観では判断できません。
これを防止するために実施する処理が 「ベーキング処理(水素脆性除去処理)」です。
一般的には、 180℃~200℃の恒温炉内で 4~8時間加熱保持することで、 鋼内部に侵入した水素を放出させます。
高強度ボルトでは、 鋼材強度を維持しながら 遅れ破壊を抑制する重要工程です。
なお、 強度区分12.9ボルト、 キャップボルト、 高硬度CAP製品は、 ベーキング処理を行っても 遅れ破壊リスクを完全には除去できません。
そのため、 12.9製品への電気亜鉛メッキ、 溶融亜鉛メッキ(ドブメッキ)は 原則禁止または非推奨となります。
次工程↓
工程1:高強度ボルト製造
工程内容(仕様書ベース): 冷間圧造、転造加工により高強度ボルトを製造します。
なぜ必要か: 高軸力締結を実現するためです。
使用製品: 強度区分12.9、 六角穴付きボルト、 キャップボルト
用途・役割: 工作機械、金型設備、産業機械、高荷重締結部に使用します。
選定基準:
強度区分:12.9を使用します。
材質:SCM435、SCM440を選定します。
使用環境:高荷重設備、振動設備です。
規格:ISO 898-1、JIS B 1051を確認します。
引用仕様書名または参考基準名: ISO 898-1、JIS B 1051
次工程: 表面処理工程へ進みます。
次工程↓
工程2:酸洗・メッキ工程
工程内容(仕様書ベース): 酸洗処理後、電気亜鉛メッキなどの防錆処理を実施します。
なぜ必要か: 防錆性能向上のためです。
用途・役割: 防食性能を付与し、腐食進行を抑制します。
選定基準:
強度区分:10.9以下はベーキング対象です。12.9はメッキ制限対象です。
材質:クロムモリブデン鋼を使用します。
使用環境:屋内機械設備です。
規格:JIS H 8610、ISO 4042を確認します。
引用仕様書名または参考基準名: ISO 4042、JIS H 8610
次工程: ベーキング処理を実施します。
次工程↓
工程3:ベーキング処理(水素脆性除去処理)
工程内容(仕様書ベース): 180℃~200℃で4~8時間加熱し、 内部侵入水素を除去します。
なぜ必要か: 遅れ破壊防止、頭飛び防止、 締結信頼性確保のためです。
使用製品: 8.8六角ボルト、 10.9六角ボルト、 ソケットヘッドボルト
用途・役割: 高強度鋼内部の拡散性水素を除去します。
選定基準:
強度区分:10.9以上はベーキング推奨です。
材質:SCM435、SCM440です。
使用環境:高荷重設備、長期締結部です。
規格:ISO 4042、JIS B 1051を確認します。
引用仕様書名または参考基準名: ISO 4042、JIS B 1051
次工程: 締結品質確認を行います。
次工程↓
工程4:締結品質確認
工程内容(仕様書ベース): トルク試験、軸力試験、破断確認を実施します。
なぜ必要か: 遅れ破壊防止と安全性確認のためです。
使用製品: ノルトロックワッシャー、 皿バネ座金、 バネ座金
用途・役割: 軸力保持、振動緩み防止、 締結安定化を行います。
選定基準:
強度区分:組み合わせボルト以上を使用します。
材質:ばね鋼、SUS304を選定します。
使用環境:振動設備、高荷重設備です。
規格:JIS B 1251、DIN 6796を確認します。
引用仕様書名または参考基準名: JIS B 1251、DIN 6796
次工程: 完成検査へ進みます。
工程のまとめ
参照規定: ISO 898-1、ISO 4042、JIS B 1051、JIS H 8610、JIS B 1251、DIN 6796
必要商品:
強度区分12.9
六角穴付きボルト
キャップボルト
10.9六角ボルト
12.9六角ボルト
8.8六角ボルト
ソケットヘッドボルト
ノルトロックワッシャー
皿バネ座金
バネ座金

