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連載 6INTERVIEW

源邑光北野刃物製作所
× ネジクル 対談

源邑光北野刃物製作所 様

記事公開日:2014年12月15日

鍛冶屋として創業して以来、108年に渡り運営を続ける「株式会社源邑光(ミナモトノムラミツ)北野刃物製作所」。4代目社長である北野朋宏氏が運営する現在は、内装業の職人が部屋の壁に壁紙を貼る際に用いる内装用ヘラの製作をメインとしている。そのネジ供給を担うECサイト「ネジクル」を運営する株式会社ツルガの敦賀社長が、源邑光北野刃物製作所の北野社長へ内装用ヘラやネジについてお話をうかがった。

お客様:株式会社源邑光北野刃物製作所 北野朋宏様 / 聞き手:株式会社ツルガ 敦賀伸吾、宮嶌佳代

目次
・必要とされるものを作り続けて108年
・家業を継ぐつもりはなかった
・現在の主力商品は地ベラ、パテベラ
・源邑光北野刃物製作所とネジクル

必要とされるものを作り続けて108年

敦賀:御社は創業108年、何代も続く企業ですよね。創業時から事業内容は同じなのですか?

北野様:曽祖父が創業した当時は鍛冶屋で刃物や牛刀を製造していました。それが、戦後祖父の代に、「皮スキ」の製造に移行しました。それからは、製造する製品を増やしながら、その時々に必要とされるものを作り続けて今日に至っています。

敦賀:その「皮スキ」というのは?

北野様:塗料をケレンするものです。駅構内などで駅員や清掃員の方が、床にへばりついたガムを剥がしているのをご覧になったことはないですか? あの剥がしに使うヘラが皮スキです。牛革をなめす道具を塗装用に改良して作った、皮を切る包丁(皮太刀)とヘラの中間のような刃物になります。当時、祖父北野修司が作った「Y型皮スキ」は、塗装業界を皮切りに色々な業界で爆発的に売れました。Y型にすることで塗料は格段にケレンしやすくなったからです。

宮嶌:開発経緯が気になりますね。アイデアの着想や閃きで気を配っていることなどありましたら、教えて下さい。例えば、北野家で代々受け継ぐ「教え」のようなものはあるのでしょうか。

北野様:教えなどといいう大それたものではありませんが、祖父も父も現場をよく見る人でした。そして、現場で見聞きした職人の方達の声をきちんと製品に反映させています。ウチの製品を見てもらうと、それをお分かり頂けると思う。僕もそこを意識しています。ただ、今の時代は現場の方達の意見を聞いた上で、そこにもう一工夫を加えないと売れる製品は作れないとも感じています。その一工夫を意識したモノづくりを心がけています。

宮嶌:この絵を書く際に用いるパレットのような製品もそうした閃きからのアイデア製品なのでしょうか。

北野様:そうですね。これは塗装職人の方が使う、パテ板という道具です。塗装の平らさを向上させるために用いる肉盛り用のパテをのせる板で、職人の方は片手でこの板を持ち、もう片方の手にヘラを持って作業するのです。

で、このパテ板の特徴は何かというと、右利きにも左利きにも対応できる、手の位置を変更して使えること。裏面の鬼目ナットとネジで持ち手の調節ができるのです。ただ、この調節が利くことだけでは、宣伝文句としては弱い。

そこでお話した一工夫です。このパテ板は、メラミンという材質で作っています。職人さんからプラスチック製の摩耗性は激しく、ステンレス製だと傷はつきにくいけど長時間持つには重いという不満を聞いていたので、傷がつきにくく重くならないようにメラミン製の材料を使って作ることにしました。更には、パテ2、3本をもって移動したいというニーズを聞いたので、ヘラを収納できる一工夫を加えたパテ板にしています。

家業を継ぐつもりはなかった

敦賀:凄い。一見、なんてことない板ですが、驚くほど色々なアイデアが詰め込まれているのですね。御社の歴史というか、モノづくりにかける思いを感じます。幼い頃からお父さんの背中を見て育って、家を継ぐものだと思われていましたか?

北野様:町工場なので、3K「きつい、危険、汚い」だと思っていましたから、家業を継ぐつもりなんてありませんでした。実際、サラリーマンになりましたし。ただ、大手工務店の子会社のプロパーだったので、親会社からの天下り組の方達がトップを締め、希望を持てるキャリアを描けない環境に、不満がありました。そんなときに父から家業を継がないかと打診されたんです。実際に働いてみれば、従業員の仕事がなくならないようにと日夜気にかけて苦労も多いですが、やりがいはありますね(笑い)。

現在の主力商品は地ベラ、パテベラ

宮嶌:御社の現在の主力商品を教えて下さい。

北野様:壁紙を貼るときの地ベラ、パテベラや、パテ板ですね。また、ネットで壁紙を販売している企業からの要望で、素人向けのクッションフロア用カッターもあります。ホームセンターにはまだ出回っておらず、ネット販売でだけ購入頂けます。刃が出すぎると壁を引っかけてしまうので、壁にぴったりと沿うように気をつかいますね。皮スキに関しては、現在は価格に見合うよう、品質にこだわりながら中国で製造しています。

敦賀:国内で製造すると原価が合わないですか?

北野様:皮スキは基本的に1本100円程度と安価で、使い捨ての商品です。15年ぐらい前は日本で100円かかるものが中国では30円で作れました。昨今は中国の人件費が日本並みにあがってきましたし、中国の皮スキも限界に近いところまできていますが、それでも弊社で2、3万本は出る商品ですし、弊社にしかできないこともあるので頑張っています。

敦賀:その御社にしかできないことって、具体的にはどんなことなのでしょうか。

北野様:刃の切れ味と刃が欠けないようにする材料の選別と焼き入れ、この点です。また、弊社では、2段に刃をつける「コバ付け」もしています。コバ付けをしないと、簡単に刃が欠けてしまったり切れ味が悪くなるのです。こうした付加価値の付け方には自信を持っています。

源邑光北野刃物製作所とネジクル

敦賀:御社はネジクルを使ってくださっていますが、どうして選んでいただけたのでしょうか?

北野様:ネジクルが、専門性の高いネジ屋であるためです。ネットの手軽さがあって、さらに一般の小売店に相談するのと同等の専門性がありますよね。

宮嶌:インターネットには他にもネジを販売しているサイトがありますが、その中で選んでいただけて光栄です。

北野様:他のお店は一般的に売れるものしか置いていなかった。要は「ネジ屋さん」ではない。新製品を作るにあたって、いろいろな閃きと可能性に、相談したらちゃんと応えてくれる専門性の高いお店を求めていたんです。その点、ネジクルは、「ネジの百科事典」や「ネジログ」などネジのことをしっかり学べる機能が充実していますし、きちんと目利きしてくれるから便利に使わせてもらっています。

敦賀:ネットだと売り場面積が関係なく、管理費も少なくて済むので、ネジクルでは、多種を安価に販売することができます。そこを喜んで頂けて良かったです。

北野様:弊社も専門性の高いインターネットショップをと考えていて、ヘラ専門店「エトナ商店」を立ち上げています。

敦賀:全世界に専門性のあるヘラを待っている人がいらっしゃるでしょうし、良いですね。

北野様:現在は細かい注文をしてくるのは日本だけですが、今後は変わってくるかもしれないですね。

宮嶌:今後も御社展開が楽しみです。本日はありがとうございました。